マシンラーニング/OCR(文字認識)を活用した請求書自動処理で、メーカーA社は経理業務を約60%改善。

IT活用による効率化が進む中、立ち遅れているのが請求書の処理業務だ。ある調査によると仕入れ先請求書の約80パーセントは、いまだに紙ベース。その電子化やデータ取り込みに要する作業負荷が、経理スタッフに重くのしかかる。加えて受領内容のチェック、例外処理、承認などにわたるトータルコストは、請求書1枚につき250円に換算されるという。働き方改革やガバナンス/コンプライアンス強化が求められる中、経理部門が抱える課題は請求書と同様、“山積み”だ。

こうした請求書の処理業務を「OpenText™ Vendor Invoice Management for SAP Solutions (SAP VIM)」によって従来比約60%改善したのがメーカーのA社だ。経理スタッフが本来業務に専念できる環境が整ったという。

A社に届く主要な取引先からの請求書は、年間約200万本。そのうちの約70%は封書やFAXなどの紙ベースだったことなどから、経理スタッフ15名の処理能力は限界に達していた。そこで基幹業務をSAP ERPで処理していたA社では、連携性も考慮し「SAP VIM」の導入に踏み切った。

多くの企業で実践済みの処理手法を反映した「SAP VIM」の導入効果は想像以上だ。まずOCR(文字認識)やマシンラーニングによって、手間のかかっていた請求書の電子化やデータ取り込み作業が格段に軽減。特筆すべきは、ロボットが学習しながら抽出データの精度を高めていく「マシンラーニング」だ。

また伝票の自動チェックにより人為的ミスが大幅に低減するとともに、例外処理や承認・登録の必要時には各担当者に依頼送信。これら一連の業務自動化はガバナンス面でも有効なうえに、「見える化」により、どの取引先から何をいくらで買っているのかといった分析も可能になった。今後、A社では「電子帳票保存法」に対応可能な「SAP VIM」を活かし、請求書保管のコスト低減や法対応を進めていくという。